役割・KPI・組織の分け方

02 BDRとSDRの違い

「攻め」と「受け」を混ぜないための、役割設計の基本

この記事で分かること

BDRとSDRはどちらも「インサイドセールス」と呼ばれる内勤型の営業ですが、役割もKPIも組織の作り方も大きく違います。本記事では、両者の定義の違いから、追うべきKPIの設計、組織としての分け方、そして「自社はどちらをいつ立ち上げるべきか」までを整理しました。役割を混ぜたまま動かすと両方とも成果が出にくくなる、その理由と分け方が分かります。

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BDRとSDR、それぞれの定義

BDR(Business Development Representative)は、自社をまだ知らない企業に対し、こちらから能動的に接点を作りに行く役割です。 一方、SDR(Sales Development Representative)は、自社サイトの問い合わせや資料請求、セミナー参加など、すでに関心を示してくれた見込み顧客(インバウンドのリード)に対応し、商談化を進める役割です。

両者ともに、訪問せず電話・メール・オンライン会議などで動く「インサイドセールス」の一種に分類されます。違いは、対応する見込み顧客が「自分から来た人」なのか「まだ接点のない人」なのか、という入口の側にあります。

一言で言うなら

  • BDR:関心がまだ生まれていない相手に、関心そのものを作りに行く。
  • SDR:すでに生まれた関心を、商談という形に育てる。

同じ「商談を作る」というゴールに見えても、起点となる相手の状態がまるで違うため、求められるスキルも、追うべき数字も、動き方も別物になります。

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よくある混同と失敗のパターン

BDRとSDRをめぐって、現場でよく見かける失敗を整理します。

「うちのインサイドセールス」とひとくくり

「インサイドセールス」を一つの役割と捉え、BDR業務もSDR業務も同じ人に振っているケース。前述のとおり、引っ張られるのは必ずSDR側で、BDRが先細りします。役職名はそのままでも、業務は分けるのが第一歩です。

マーケ→SDR→営業の引き継ぎが詰まる

「BDRはやっていない」と言いつつ、実態としてSDRがインバウンド対応に追われ、マーケが集めたリードを取りこぼしている。この場合、追加でBDRを作るより、まずSDRのオペレーションを整える(反応速度・MQL/SQLの基準など)ほうが先です。

BDRに「数」を課して質を落とす

「BDRを立ち上げたが成果が出ない」と相談されるケースの多くは、KPI設計の問題です。送信数や架電数を主KPIにすると、相手を選ばない一斉送信になり、結局スプレー&プレイ(質より量の闇雲なアプローチ)に逆戻りします。BDRは件数ではなく、有効商談数・パイプライン貢献額で見るべき役割です。

外注したのに役割が曖昧

営業代行を入れる際に「インサイドセールスをお願いします」とだけ伝えると、BDR寄りなのかSDR寄りなのか曖昧なまま動き出してしまいます。外注先には、BDRなのかSDRなのか、そして主KPIは何かを必ず明確にして発注すること。 ここを曖昧にすると、半年後に「動いているけど成果が見えない」という事態になります。

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役割の違い ― 「攻め」と「受け」

現場での動き方を比べると、両者の違いがはっきりしてきます。

観点BDRSDR
対象自社をまだ知らない大企業など、こちらから狙いを定めた相手問い合わせ・資料請求・セミナー参加などで関心を示した見込み顧客
起点こちら側のターゲット選定と仮説相手側のアクション(インバウンド)
必要な力相手の状況を調べて仮説を立て、刺さる文面を作る力素早く反応し、見込みを見極めて受け渡す力
スピード感一通ずつ作り込むため遅い反応速度がそのまま成果につながる
商材との相性単価が高く、検討期間の長い商材幅広い商材で機能するが、特に流入が多い商材で効く

同じ営業職に見えますが、必要な思考と動き方がまったく違います。だからこそ、一人の担当者に両方やらせると、片方が必ず犠牲になります。

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KPIの違い ― 追う指標は同じではない

BDRとSDRを同じKPIで管理すると、どちらかが必ず歪みます。役割が違う以上、追うべき数字も別であるべきです。

BDRのKPI

BDRは「狙ったターゲットに、どこまで深く食い込めたか」を見ます。

  • ターゲットアカウントへのリーチ率:選定した狙いの企業のうち、どれだけ実際に接点を作れたか。
  • 有効商談化数:単なるアポではなく、商材と相性のある商談に至った件数。
  • パイプラインへの貢献額:BDR起点で生まれた案件の総額。投資判断の最終的なものさし。

送信数や架電数を主KPIに置くと、相手を選ばない量だけの営業になり、本来の役割を失います。 これらは活動量を測る先行指標であって、目標そのものではありません。

SDRのKPI

SDRは「来てくれた関心を、いかに無駄にせず商談化したか」を見ます。

  • 反応速度:問い合わせから初回コンタクトまでの時間。早ければ早いほど商談化率は上がる、という報告が複数あります。
  • 商談化率:インバウンドリードのうち、何%を商談に持ち込めたか。
  • リード品質のフィードバック:マーケが集めたリードの質を、現場の手応えとしてフィードバックする。

混ぜてはいけない理由

たとえばBDRに「商談化率」だけを課すと、確度の高そうな企業にしか動かなくなり、本来狙うべき難易度の高い大企業を避けるようになります。逆にSDRに「新規開拓数」を課すと、問い合わせ対応が後回しになり、せっかくの関心が冷めてしまいます。役割が違うのだから、ものさしも別にする。 これが鉄則です。

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BDRとSDRの役割分担を話し合うシーン
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組織としての分け方

役割とKPIが違う以上、組織としても分けるのが基本です。ただし、いきなり大きな組織にする必要はありません。

最小構成:人を分ける

まずは「BDR担当」と「SDR担当」を別の人間にすることから始めます。同じ人が両方をやると、目の前で鳴った電話(インバウンド)に必ず引っ張られ、地道に攻めるBDR業務が後回しになります。分ける順序は「人 → チーム → 部門」。最初から大袈裟な組織図を作る必要はありません。

中規模構成:チームを分ける

BDR・SDRそれぞれに2〜3名以上を割けるようになったら、独立したチームにします。マネージャーは別、評価指標も別。リード管理ツール(SFA/CRM)上でも、BDR起点と SDR起点の案件は明確にタグ分けして、効果検証ができる状態にします。

大規模構成:部門として分ける

さらに進めば、BDRはマーケに近い「需要創出部門」、SDRはセールスに近い「リード対応部門」と位置付けが分かれていきます。海外の先進企業では、BDRはCMO(マーケ責任者)配下、SDRはCRO(セールス責任者)配下というように、レポートライン自体を分けるケースもあります。日本の組織でここまで分ける必要があるかは、扱う商材と組織規模次第です。

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どちらをいつ立ち上げるか

「BDRとSDR、まずどちらから手を付けるべきか」――これは多くの経営者・営業責任者が迷う論点です。判断基準はシンプルです。

SDRを先に置くべきケース

自社サイトへの問い合わせや資料請求が、すでに月に一定数ある場合は、まずSDRです。「来ている関心を取りこぼしている」状態を放置したまま、新規開拓に手を伸ばすのは順序が逆です。 既存の入口の取りこぼしを止めるほうが、投資効率は良くなります。

BDRを先に置くべきケース

逆に、こんな状況ならBDRが先です。

  • 狙いたい大企業の名前は思い浮かぶが、向こうから問い合わせは来ない。
  • 商材の単価が高く、検討期間も長いため、待っているだけでは商談数が増えない。
  • これまでの開拓が紹介・既存顧客頼みで、計画的な新規開拓の仕組みがない。

大企業を新たに開拓したい企業の多くは、後者に当てはまります。大企業はそもそも、向こうから中小・スタートアップに問い合わせてくる可能性が低い相手です。SDRを置いて待っていても、狙ったターゲットからの流入は期待できません。だからBDRが必要になります。

両方必要なケース

もちろん、両方を並行して走らせるのが理想です。ただし「両方やる=一人に両方やらせる」ではないことに注意してください。役割は分ける。順序は問わない。これが基本ルールです。

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自社で持つか、外部に任せるか

BDRとSDRの違いを整理した上で、次に出てくる問いが「これを自社で抱えるか、外に任せるか」です。

SDRは比較的、自社で持ちやすい役割です。 来てくれた関心への対応なので、自社の商材理解が深い人が動いたほうが商談化率は上がります。マーケと営業の間に位置する役割でもあり、社内の文化に馴染ませやすい。

一方、BDRは外部の力を借りる選択肢が現実的な役割です。 ターゲット選定、シグナル収集、一通ずつの作り込み、複数チャネルの運用、関係者の同時並行接触――これらを片手間でなく回し続けるのは、自前ではかなり負荷が高い。特に大企業を狙うBDRは、決裁者層への到達ノウハウや手紙・SNSなどの手段の蓄積がものを言うため、専門の支援を入れる価値が大きい領域です。

もちろん、すべてを外注する必要はありません。「自社で持つ業務」と「任せる業務」を切り分けて、両者を組み合わせる設計が、実務では最も成果に直結します。

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自社で一から体制を作る前に、プロに任せるという選択肢を検討する価値はあるはずです。

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よくある質問

F A Q

一人がBDRとSDRを兼ねてはいけませんか?

短期間の立ち上げ期であれば仕方がない場面もありますが、長期的には分けることをお勧めします。インバウンド対応(SDR)は緊急性が高く、目の前で鳴った電話に必ず引っ張られるため、地道なBDR業務が後回しになるからです。

BDRとSDR、人数比率はどのくらいが目安ですか?

自社の商材・マーケ流入の有無・狙う市場で大きく変わるため、一律の比率はありません。インバウンド流入が安定している企業ほどSDR比率が高く、新規開拓の比重が大きい企業ほどBDR比率が高くなる、と捉えるのが実務的です。

BDRはマーケに近いと聞きましたが、なぜですか?

BDRは「まだ関心のない相手に関心を作る」役割であり、需要創出という意味でマーケティングの考え方に近いためです。海外の組織ではCMO配下に置く例もあります。日本では営業部門配下が一般的ですが、評価軸はマーケ寄りに設計するのが理にかなっています。

どちらを外注しやすいですか?

BDRのほうが外注との相性は良いとされます。シグナル収集や個別の文面作り込みなど、専門知識と運用負荷が高い領域だからです。SDRは商材理解が成果を左右するため、自社で持つほうが結果が出やすい傾向にあります。

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